シリコンとフッ素塗装

■ 塗料の耐久性12年~15年、シーリングの寿命は10年が目安です ■

最近では、ファイン4Fセラミック(フッ素)や、断熱塗料ガイナといった、高級な仕上げ材の売込みが多くなっているのを目にします。

高弾性塗料アステックペイントで施工すれば10年保証とか、フッ素塗料で仕上げれば20年保証とか、無機系塗料であれば20年保証とか、よくお施主さんにその様なことを聞かれます。

メーカー担当者に伺いましても、どれも漏水10年保証や20年保証はありませんとの事でした。

アステックペイントは製品10年保証。
ファインF4セラミックは製品条件付10年保証。
パーフェクトセラミックトップは製品条件付10年保証。

上記全てにおいて、下地躯体素地に起因するもの、シーリング材上の塗膜及びシーリングに起因するものは除外となっているみたいです。

※防水10年保証となっていますが、よく読んでいくと条件付で製品10年保証ということです。

ここで、皆さんは大事なことを忘れていらっしゃいます。

……というのか、皆さんが外壁工事やその材料に馴染みがないのをいいことに、業者の方にうまく利用され、悪く申せば踊らされているという気がしてなりません。

単体の材料だけ見れば、それぞれに特徴を持った良い材料で、勿論お値段の方も良い価格設定になっていると思います。
でも、非常にバランスが取れていない工事内容だ、という事を皆さんご理解されていないのが実態です。

 

仮に、お話を鵜呑みにしたとして「20年保証」の場合。
建物には必ず、窓まわりやサイディングボードの目地、壁と床の取合いや腰壁のアルミ笠木と壁の取合いといった、必ず「シーリング材」を充填してある箇所があります
このシーリング材の寿命は、一般的には7~8年、新築住宅の場合は品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づき、10年とされています
にも関わらず、営業トークなのか「20年保証」と言っている。ではこの20年というのは、一体何の保証なのでしょう・・・?本当に漏水を20年保証してくれるものなのでしょうか。色落ちや色むらが出ない保証なのでしょうか。よく確認された方が良いと思います。

ただ言えるのは、お客様はその言葉を信用されているということです。
たぶん、その言葉を信用されているお客様は、20年の意味を「漏水トラブルも、ひび割れも、全て面倒見てくれる」と思い込まれているということです。
施工後、よくこういったお客様にお会いする機会があります。その際に、必ずといっていい程

「半永久だと聞いたのに」
「高いお金出してやったのに」
「20年保証って聞いたのに」

……といったような後悔の言葉ばかりを耳にします。

 

もう一度、よくご理解ください。

 

バランスの取れた工事仕様が良い工事内容です。
塗装は長くもっても10年経てば必ず色あせもしますし、汚れてもきます。

大事なのは塗装をする前の「下地補修のやり方とシーリングの打替え」
ここが最も重要な工事項目です。

それともうひとつ。
建築材料(塗装、防水、シーリング材など)は、必ず長所と短所を兼ね備えているということです。

 

最後に。
トータルバランスの取れた塗装は、シリコン塗料で十分だと思われます。
大型の大規模修繕(分譲マンション)の改修仕様で一番多いのはシリコン塗料で、塗膜保証は最長7年です。
戸建住宅では、工事内容を精査されるのがご主人様や奥様になられるということで、保証年数だけが一人歩きしているように思えてなりません。
しかし、予算に余裕がある場合は、飛びぬけて保証が長い塗料を選んで工事内容のバランスを崩すよりも、他のもっと気になる箇所に予算を使われることをお勧めします。